第8章 一人の見回り
ある日の夕方、杏寿郎はこれから任務だった。
「うむ、行ってくる。」
「、、いってらっしゃいませ。」
緋色は杏寿郎に一礼する。杏寿郎は、緋色を抱き締めた。緋色は、おずおすと杏寿郎に手を回す。
「悪いが見回りを頼んだぞ。」
「、、、ご心配なさらずとも。」
杏寿郎は体を離すと、おでことおでこをくっつけた。
「恋人を心配するのは当然だろう。」
真正面からそんなことを言われて、緋色は目線を下げた。
緋色は以前に比べて表情がわかりやすくなった。しかし、話すのはすぐには上手くならない。
「、、、、、お帰りを、お待ちしております。」
緋色のそんな言葉に、杏寿郎は笑顔になる。
「あぁ、必ず君の元に帰る。」
杏寿郎は緋色のおでこに口付けを落とすと、任務に出掛けて行った。