第6章 甘露寺蜜璃現る
杏寿郎は緋色を抱き締めた。
「教えてくれてありがとう。だが、可愛らしいヤキモチに、俺は心臓が張り裂けそうだ。」
事実、杏寿郎の胸の音はかなり速い。
「緋色。」
杏寿郎が緋色の耳元で囁く。いつもより低い声に緋色は眩暈がした。
「君が可愛くてたまらない。愛しくてたまらない。
俺に君を愛させてはもらえないだろうか。」
意味が通じなかったらしく、緋色は一瞬、ぽかん、とした顔をした。そして少し考えて意味を理解したようで、目を見開いた。慌てたように目線を下に逸らせる。それは恥ずかしいだけで、拒否の意味はない。
「拒否するなら今のうちだ。今ならまだ君を部屋に帰せる。」
緋色は俯いた。拒否は、していない。杏寿郎は緋色を抱き上げると、布団の上に下ろした。
「君は知るといい。俺がどれだけ君を愛しているか。」
杏寿郎は緋色を布団に押し倒した。