第5章 緋色の秘密
緋色の心は、炎のような杏寿郎の心に溶かされた。
そしていつしか火が灯り、炎のように燃え広がった。
「君からその言葉が聞けて、嬉しい限りだ。」
杏寿郎は緋色を見つめると、するりと頬を撫でた。
「、、、口付けてもいいだろうか?」
緋色はついに俯いてしまった。恥ずかしくてどうしたらいいのかわからないようだ。
頬を撫でた杏寿郎の手が、緋色の顎にかかる。軽く力を入れると、緋色が杏寿郎の方を向いた。その瞳を見た瞬間、杏寿郎は緋色に口付けた。
「、、、んっ、、、」
慈しむような、触れるだけの口付けが繰り返される。緋色が杏寿郎の名を呼ぼうと口を開いた瞬間、杏寿郎の舌が緋色の口内に侵入した。
「、、んんっ、、ん〜っ、、、」
抗議の声を上げたくても出来ない。杏寿郎の手は片方は腰に回り、片方は後頭部に回っており、逃げられない。杏寿郎の舌は緋色の舌を追いかけ、優しく絡め取る。
「悪い。先走ってしまった。」
杏寿郎は唇を離すと、緋色を自身の胸に抱き込んだ。耳に当たる杏寿郎の胸から、かなり早い鼓動が聞こえる。
「よし、今日は帰ろう。」
杏寿郎は立ち上がると、緋色の手を引いた。緋色はその手を握り返した。