第3章 相手を知るということ
杏「挨拶するとなると天ぷら屋は昼が良いだろうか!」
「そうですね。食べたあと落ち着いてご挨拶したいです。」
杏「うむ!では十二時に迎えに行こう!君の部屋番号を聞いても良いか!」
「あ…、えっと、七〇七号室です。」
杏「縁起の良い数字だな!!」
家の場所、そして部屋番号まで教えた。
ずっと男にひた隠しにしていたそれらを教える度に思い知る。
(やっぱり杏寿郎さんは特別な人だ…。とっても心が綺麗で清らかな人。)
りんはそう評したが、杏寿郎も人間だ。
今までは清らかであったとしても、恋人の存在によって人間らしい欲はこれから増えていくだろう。
その証拠にりんの部屋を想像した杏寿郎はまあまあ邪な事を考えていた。
杏「俺の部屋は五〇五号室だ!同じゾロ目だな!!いつでも遊びに来てくれ!!」
「…は、はい。」
りんはそんな杏寿郎の俗らしい欲に気付かず、よりにもよって『また女として意識されてない。』などと思ってしまった。