第10章 使命感
「な、なんで…、」
りんは後ずさりながらちらりと振り返って杏寿郎を探した。
(人が邪魔でまだ見えない…。)
藤「いや、その…昨日までずっと睡眠不足のようだったし心配で…。」
顔色をうかがうような表情の藤川は、そう言いながらりんの視線の先を辿った。
藤「……あれは…、」
そして、杏寿郎を見つけてしまった。
「ま、待って下さい…!」
藤川が杏寿郎に向かって歩きだしてしまったので、りんも慌ててそれを追った。
杏「…………………………。」
杏寿郎は一緒に現れた二人を大きな目で見つめた。
「杏寿郎さん…あの、」
藤「 "りんさん" と早く別れてやって欲しい。」
言葉を遮られたりんは呆気にとられた顔をした。
それを見た杏寿郎は事態を把握すると眉を寄せた。