第2章 初めての彼氏は…、
(……たぶん、この人は送り届けたら部屋に上がらず帰るんだろうな。)
店を出たりんはそんな事を思いながら、隣を歩く清らかな空気を纏う杏寿郎を見上げた。
すると杏寿郎がその視線に気が付いてりんを見つめ返し、パッと明るい笑顔を浮かべる。
杏「うむ!顔の赤みは取れたな!先程の熱は本当に体調不良からくるものではなかったのか!りんさんは随分と酒に弱いのだな!」
杏寿郎は安心したように笑うとりんの頭を熱い手のひらで撫でた。
りんはその欲のない手付きから、杏寿郎が自身を教え子のように思って接しているのではと感じた。
「お酒は弱くないです。強くもありませんが…。」
杏「………………。」
体調不良については杏寿郎が言った通り店を出る前にりんが否定したばかりだ。
他の頬を染める理由を探した杏寿郎はとある心当たりに納得したように頷いた。