第10章 使命感
(杏寿郎さんは清い心のまま抱きしめてくれていたのに…恥ずかしすぎる…。)
一方、杏寿郎は少し呆気に取られたものの、すぐに明るい笑顔を浮かべた。
杏(したいと言われた事がなかったので淡白なのかと思っていたのだが…、りんさんも俺にそういった欲を抱いてくれるのだな。)
「……………………。」
その笑顔を見付けたりんは赤い顔のまま小さく首を傾げた。
「……あの…どうしてそんな顔を…?」
その遠慮がちな質問に杏寿郎はにこりと微笑む。
杏「君がそう意識してくれるのは嬉しい!愛おしいとも思った!!それに体を壊したわけでないと分かって安心した!!」
「……そう…でしたか…。」
りんは気の抜けたような声を出すと、少しぎこちない動きで杏寿郎に寄りかかった。
すると杏寿郎はりんの腰に手を回してその身をしっかりと抱き寄せた。