第9章 牽制
それから杏寿郎はりんに自身のシャツを着させて警察を迎え入れた。
そして『大事にしたくない』というりんの希望で警察には話をしただけで済ませたのだった。
杏「分かっていると思うが、彼を罰しない代わりにすぐ俺の家へ移ってもらうぞ。」
杏寿郎はりんの手を優しく握りながらそう言った。
りんはそうなる事が分かっていた為に大人しく頷き、二人切りになると持てるだけの物を持って杏寿郎の家へ向かったのだった。
———
杏「…………………………。」
杏寿郎は台所へ水を取りに行っても、さつまいもプリンを取りに行っても、りんが杏寿郎のTシャツを掴んで後にくっついて来るので痛々しく思った。
杏「ここは安全だぞ。」
杏寿郎はそう言い聞かせるように言うとソファへ戻り、さつまいもプリンを勧めた。