第1章 出会い
(………どうして、こんな事に……。)
とある男の腕に自身の腕を絡めながら歩いているりんは遠くを見た。
相手の男は恋人ではなかった。
そして、こんなカップルのような接し方も決してノリノリでやっている訳ではない。
(……全ては天元くんのせいよ…。)
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遡ること三時間前、
合コンの幹事を務めていたりんは、相変わらず似たような男に捕まって内心溜息をついていた。
(よくない雰囲気だな…。連絡先も交換しないでおこ…。)
そう思うと太腿に伸びそうになった男の手を躱して立ち上がった。
女「りん、トイレー?」
「うん。あ、作戦会議ってやつする?」
りんがくすくすと笑うと『それするならハッキリ言わないでよー。』と言いながらも女性陣が席を立った。
男「ごゆっくりー。」
そう言ってひらひらと手を振るのは男側の幹事、そしてりんの従兄弟である宇髄天元だ。
りんは天元に手を振り返すとトイレへと向かった。