第3章 さとにゃんと、さとしくん
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さとしくんは、ふんわり微笑むと、ぼくの頭を撫でた
「…みんなの願いを叶えてあげて欲しいんだ」
「みんにゃの、お願い??」
「そう、お願い」
さとしくんはそう言うと、また、にっこり笑った
「智くん、手を出して?」
「て?こうにゃ?」
ぼくがお手てを出すと、さとしくんが白くて丸い、ツルツルした綺麗な石をぼくの手に乗せた
「わぁ、キラキラしてて、きれいにゃ〜♪」
「その石は、今は真っ白だけど、願いを叶えていくと、色が変わっていくんだよ」
「ふぅ〜ん…」
ぼくは手の中のキラキラ光る石を見た
「翔くんの願いが叶ったら、赤
雅紀くんの願いが叶ったら、緑
和くんの願いが叶ったら、黄色
そして潤くんの願いが叶ったら、紫
…そうやって、どんどん色が変わって行って…」
さとしくんはぼくの手をそっと包む様に石を握らせた
「…そして、最後に、ぼくの願いが叶ったら、青く光り輝く…そうしたら、君の願いが叶うはずだよ」
「ぼくの、お願い?」
「そう…だって、君は猫だから、あっという間に年を取って、みんなよりずっと先にしんでしまう」
Σはにゃ?!そ、そうにゃの??!
「いやにゃ!さとにゃん、ずっとずぅ〜〜っとみんにゃと一緒にいたいにょにゃぁ〜〜〜っ!!」
またお目めからお水が出てしまったぼくを、ヨシヨシって抱っこしにゃがら、さとしくんが言った
「だから、ぼくが本当は普通に生きて行く筈だった命を、君にあげるよ」
「…にゃ?なんにゃ、それ?」
さとしくんは、ぼくを優しく抱っこしにゃがら、またにこっと笑った
「ぼく、本当は赤ちゃんのうちに死んじゃうハズじゃなかったんだって
…でも、神様のうっかりミスで、違う人と間違って、死んじゃったの」
「はにゃ!神様って、うっかりさんなのにゃ?!」
「うふふ、それでね
それを聞いたぼくのお母さんとお父さんが怒って、ぼくを生き返らせろって言ったんだけど
もう死んじゃってから何年も経ってるから、無理だって…」
「そうなのにゃ?」
「…それでね?代わりに君を人間にして、蘇らせたんだよ」
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