第1章 ぼく、さとにゃん♪
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ぼくは、一回死んでるにゃ!
なんでかっていうと、三途の河を渡りかけたのにゃ!
…んと、だから、死んだんじゃなくて
死にかけたのにゃ!
たぶん、とってもお腹が空き過ぎて、たおれちゃったのにゃ!
その時のぼくは、まだ産まれたばっかで、よちよち歩きの子猫だったのにゃ
なのに、さとしは、お母さん猫とはぐれてしまったにゃ
ぼくは何日も、一生懸命お母さん猫を探したのにゃけど
見つけられにゃかったのにゃ…
そして、行き倒れてしまったにゃ
乳飲み猫のさとしに、ひとりで食っていく力は、なかったのにゃん
んで、気が付いたら、でっかい河の前に居て、誰かが“三途の河”って言うんだって教えてくれたにゃ
にゃんだかわかんにゃいけど、そこを渡らにゃいといけないっていわれて
濡れるの嫌いにゃ!…て、思いながら三途の河に、後ろ脚を突っ込んで、深さを確認してたら、誰かによばれたのにゃ
どこからともなく、聞こえる声にみみをすませていたら
気付くとぼくは、見知らぬ男の人に抱かれていたのにゃ
それが、まーくんだったのにゃ
まーくんは、死にかけたぼくをお家に連れ帰ってくれて、ふわふわタオルで体を拭いてくれて、ずっと抱っこしてくれてたにゃ
時々ぼくの頭をナデナデして
「大丈夫だよ、元気になるよ」
って、言ってくれたのにゃ
こうして、まーくんのお陰で元気になったぼくは
“さとし”って名前をもらって、風山家の一員になったのにゃ!
でも、にゃんで、夜になると、人間になれるのかにゃ?
風山家にきてしばらくは、さとしは本当に普通のラブリーな子猫だったのにゃ
それが、ある夜急に人間になったのにゃ
風山家の四兄弟の慌てっぷりったら、酷いもんだったのにゃ
なかでも、しょーくんのビビりっぷりは、半端なかったにゃ
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