第7章 かずくんの願い事
(…後、一人だね)
何時もの、こあぃ夢
(…いよいよ、だね)
白いフードをすっぽり被った、男の子
(…僕が、僕に…返る時が…)
ぼくと同じ顔した、君
(…さあ、さとしくん…
最後の願いを叶えて
…そして、完全な人間になるんだ…)
ぼくの体を使って自分が復活する為に
ぼくをこの世に人間として蘇らせようとした人
(…僕の為に…
僕の魂の受け皿になる為に
さぁ、早く
最後の願いを叶えるんだ
そして
早く僕に
その体を、頂戴?)
白いマントから覗く赤い唇の端が、にゅっと釣り上がって
陰になった顔の奥で、黒い瞳がキラリと光った
…あげれないよ
ごめんね、さとしくん
ぼく、あげれないの
だってぼく、皆と居たいんだ
しょーくんと
まーくんと
かずくんと
だーりんと
皆でずっと一緒に暮らして行きたいんだ
だからね
あげれないの
ぼくは、ぼくなんだもん
たとえ君が、ぼくのカラダを人間に変えたのだとしても
たとえまた、ただの猫に戻ってしまったとしても
ぼくは、皆と一緒に居たいんだ
だからぼく
…ぼく…
「…ん〜………ふわぁ〜///」
「んん〜?……あ、おはようさと………Σおぉおおッ??!」
「にゃ?しょーくんどしたの??」
「萌え耳…じゃなくて、猫耳がッ!!さとしくんの猫耳がぁッ!!!///」
「………にゃ?」
何時もの悪夢を見た後
例によってすっかりその内容を忘れてしまったさとにゃんは、朝目が覚めると
…お耳が、無くなっていた
「お?…頭がつるんつるん♪」(←シッポほど執着が無いらしい)
「猫耳……可愛かったのに」
「にゃ〜?なんなら、カチューシャでも付けるにゃ?」
「……リアル猫耳が良かった(泣)」
「しょんなの、にゃくにゃっちったモンは仕方がないのにゃっ!!」
「……もっと、優しくして(泣)」
寝起きでさとにゃんに足を齧られたしょーくんは
撫で肩を落として溜め息をついた