第6章 じゅんくんの願い事
「どうしたんです?さとし…そんなに猫缶が恋しいの?」
「…ちがぅ、にゃ」
朝、目が覚めるとやっぱりぼくは人間にょままで
「猫缶っぽいから」
って言ってしょーくんが用意してくれたツナ缶を見詰めながらぼんやりとしていたのにゃ
「ごめんねさとしくん、やっぱこんなモンこのまま食えないよね」
しょーくんがツナ缶を片付けようとしたにょで、ぼくはそのしょーくんの手ごとはっしと掴んだ
「…たべるのにゃ」
「え?……Σいぃってぇえーーーっ!!!」
「…かたいのにゃ」
「そりゃそうでしょう…ソレ、翔兄ちゃんの手ですから」
ん?どぉりでマズイのにゃ(←笑)
「…すぷーんが、ないのにゃ…」
「あ、スプーンね、ちょっと待って…」
「…これでいいのにゃ」
さとにゃんはツナ缶を自分で持って、翔くんの指を摘むと、それでツナをすくってたべたのにゃ
—かぷ
「Σ痛い痛い痛いってばっ!!!(泣)」
「…うまいけど、かたいのにゃ」
「そりゃあ、翔兄ちゃんの指ごと齧ってますから」
うん、知ってるのにゃ(←!!)
「どうしたの本当に…なんか様子がおかしいよ、さとし」
「何でもないのにゃ、まーくん…」
本当は、何でも無くにゃいのにゃけど…しょんなコト、みんにゃに言えにゃいのにゃ…
「はぁ……」
かぷ
「Σだから何で俺の指噛むのぉーーーっ!!!(泣)」
…はらいせにゃ(←ひどいから)
ん〜、でもいくらしょーくんのお指を齧っても、どうにもにゃらないのにゃ…
…だって
…だってさ…
だってさとにゃん…
…完全な人間になったら、もう、さとにゃんじゃ無くなっちゃうかもしれないのにゃ
昨夜、ボス猫ちゃんに聞いたのにゃ…
さとにゃんがみんなのお願い事を叶えると、さとにゃんはその度に、人間になって行くみたいなのにゃ
しょんで、しょんで…
そうやって少しずつ人間になって行って、本当の人間ににゃったら…
さとにゃんは、猫のさとにゃんじゃなくにゃって…
…みんにゃのお兄さんの、さとしくんになってしまうかもしれないのにゃ…