第10章 媚薬・不死川実弥
「いいもんやるよ。」
宇髄から渡されたのは何やら液体の入った小さな瓶。
「美顔水って言って、飲むと肌が綺麗になるんだよ。」
「んなもん、いらねぇよ。」
「お前にじゃねぇよ。お前の彼女にだ。」
宇髄はニヤニヤと不死川を見た。
「たまにはこう言う物も買ってあげないと、愛想尽かされるぜ。」
「るせぇ。」
不死川は押し付けるようにして渡された小瓶を持って帰った。
「お帰り、実弥くん。」
「あぁ。」
不死川が帰ると、玄関まで楓が迎えに出てきた。不死川は靴を脱いで上がると、楓を抱き締めた。
「どうしたの?実弥くん。」
普段はしない抱擁に、楓の顔は真っ赤だ。
「お前、俺のこと好きだよな?」
「何よ、突然、、、まぁ、好きだけどさ」
宇髄に、愛想尽かされる、と言われたのを、気にしているようだ。
「今日は任務はなしだァ。たまには酒でも飲もうぜ。」
「そうなんだ。そしたら夕餉とお風呂の後に、ゆっくり飲もうか。楽しみ。」
楓は軽い足取りで夕餉の用意に向かった。