第9章 寂しい夜・宇髄天元
『行ってまいります。なるべく早く帰りますね』
いつも見送られることが多い宇髄は3日前にそう言って任務に出掛けた彼女のことを考えていた。
彼女は元村ひなたと言った。その体で刀を振るのかと思う程華奢で小柄だった。しかも美少女ときた。なんやかんやあったが、今は宇髄と恋仲になり、宇髄邸で一緒に暮らしている。
任務に出た彼女と対照的に、宇髄は任務がなく、自分の担当地区の見回りや鍛錬に精を出していた。
「、、、静かなもんだな」
見回りが終わり、宇髄は自室で酒を飲んでいた。いつもは宇髄がいないことが多い。彼女が3日家を空けることもあったが、宇髄も任務があった。宇髄は月を見上げた。
「、、、抱きてぇ」
そんな言葉がため息と一緒に出た。宇髄はひなたが家にいる時は、毎日のように抱いていた。何度抱いても飽きる事なく、彼女を求めた。自分がおかしくなったのではないかと思う程、彼女のことが好きだった。