第37章 欲しい物・鬼舞辻無惨
「俊國、新しく入ったお手伝いさんよ。よろしくね。」
義母が部屋にやって来てそう言った。義母に並んで若い女が立っている。
「と申します。坊っちゃん、よろしくお願いいたします。」
と名乗った女はにっこり笑うとぺこりと頭を下げた。中々可愛い顔をしていた。
「わかりました。こちらこそよろしく。」
ニコリとはしないが、そう答える。ここでは物分かりのいい子供なのだ。
「俊國。あまり本ばかり読んでないで休憩しなさい。さん、お茶の用意を。」
「はい、ただいま。」
はぺこりと頭を下げると、部屋を後にした。
それが無惨との出会いだった。
「坊っちゃんは本当に勉強家ですね。」
部屋の掃除をしながらが話しかけてくる。
「私なら嫌になっちゃいます。私が坊っちゃんくらいの時は男の子に混じって木登りしてました。誰よりも高いところまで登ったんですよ。」
俊國からの返事は無いが、は話し続ける。元々かなりおしゃべりのようだ。