【夢小説】オタク+オタク=? 番外編【影山飛雄/R18】
第3章 二次元オタクは童貞を殺したいらしい
「飛雄った〜ん」
土曜の夕方、バイトが終わったらしい朔夜が現れた。
それは別によくある事なので気にならないが、口調が気になる。
こう言う時は大抵下らない事を考えいて、お願いしてくる時だと、影山はよくよく理解している。
「…………今回は何をしようとしてる?」
「飛雄たんに、着て欲しい服があるのじゃ」
「服ぅ?」
ただ服を着て欲しい。
それだけで、こんな反応になるのはおかしいと影山は眉間に皺を寄せながらに答えた。
二次元オタクは童貞を殺したいらしい
「何で服だけで、んな怪しい動きになるんだ?」
「うぇっへっへっへっ……着てくれる?着てくれる?」
部活が終わり、部室までくっ付いて来て離れない朔夜に、影山は少しづつ嫌な予感がしてきていた。
自分の服の趣味はさておき、朔夜はTシャツにおいては趣味が悪い。
正確には趣味が悪い、のではなく、変なデザインを見つけると進んで買う癖があった。
そんな朔夜だから、きっと気に入ったTシャツでも見つけたのだろう、と思っているとゴソゴソとカバンから服を取り出していた。
「…………ん?」
取り出している物の生地がどう見てもTシャツ素材ではなく、汗を拭く手が止まった。
「じゃじゃーん!」
バッと服を出した朔夜の顔は上機嫌そのもの。目を輝かせている位だ。
「……何だ、それ?」
生地的に見てそれはニット。
そして、何処からどう見てもおかしいとしか言えない作りをしていた。
「童貞を殺すセーター!飛雄たん着て着てっ!」
目を輝かせて言った朔夜の言葉に、知らぬ関わらぬ、を決め込んでいた全員が吹き出し、咽る。
そんな周りの事を不思議そうに見ながら、朔夜は影山の方を見て再び言う。
「飛雄たん、着て!」
「誰が着るかボケェ !! 」
「え〜〜」
本気で怒鳴る影山に、朔夜はシュンとしながら言った。
「絶対に飛雄たんに似合うと思って水色選んだのにぃ」
「似合うか、そんなデザインの服!」
全力拒否をする朔夜が頬を膨らませていると、やっと落ち着き出した周りが流石に、と声を掛け始める。
「うんちゃん、ちょいちょい」
菅原に手招きをされたので、朔夜は影山に服を押し付けて向かっていく。