(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第12章 密かなお出かけ【原作4年前】
椎奈をよく知る伊達と、忠告を守って隣で生きてる萩原の思いや信頼は分からなくもねぇ。とは言え、秘匿されるべき立場になった諸伏と降谷の警戒心も納得で、少しの懸念も一掃しなくちゃならねぇ。忠告された内容も内容なので尚更だ
降谷「彼女自身の素性、経歴、人間関係……それらの調査で何も無ければそれでいい。別の新たな疑問は残るが、まぁその話は後回しだ」
全員「「…………」」
酒を一気飲みしながらそう言った降谷は、諸伏と二人で険しい表情のまま何処とも知れない所を睨みつけている。コイツらは警察学校を卒業してから姿を眩まし、隠密行動をしているらしくすっかり変わっちまった。普通に生きてりゃ見えない闇、想像を超えた敵と闘う為に黒に染まっちまった
俺ら三人以上に命の危険に晒され、良心の呵責を耐え忍んで密かに正義を遂行する。そんな二人の深刻な様子に全員が無言となり、ちびちびビールを飲みながらも思い浮かべたのは一人の少女の背中だった
今や世間で輝きを放ち続ける芸能人、椎奈の善人然りとした性格なんて疑う方が馬鹿らしい。短時間会っただけでそう思わせるような子供だった。勿論相手は女優だ。あっさり嘘を見抜ける相手じゃねぇんだろうが、彼奴はあっさり嘘をつけるタイプじゃねぇ。何より此方を騙そうとする卑しさもなく、話す時は真面目な雰囲気を放っている。降谷も諸伏も本当は同じ気持ちだろう、年端もいってなくて俺ら警察の卵を純粋に応援してくれた奴。そんな彼奴を好きで疑ってるじゃねぇ
だから……、だからどうか、お前はただの清廉潔白な一般人であってくれ。どんなあり得ねぇ秘密があっても良い、受け入れるから親友の命綱になった事を純粋に感謝したいから
全員が本音を言わないだけで、そう思ってる事は誰もが分かっている。しんみりとした沈黙の中で、俺らはそそくさ注文したもんを腹に納め切った
───松田side END