(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第37章 漆黒の葬列 後編
だってそうじゃなきゃ「幼児化の件はバレてない」って確信持って言えないでしょうし……。その一方でジン達の状況を把握出来ない新一は純粋に心配し、彼女の今後を案じてどうにかならないかという焦燥を感じる。そうして尋ねられた哀ちゃんは新一の顔から視線を伏せ、ガーゼや包帯で手当を続ける私を見やった。
灰原「そうね……。ねぇ椎奈さん、あれから私の幼児化ってジン達にバレたのかしら?」
椎奈「……いいえ、バレてないわ。まず話したとしても非現実的な事だし、ピスコは……どうやら今は───」
「「?!!」」
ピスコはシャンデリアに拳銃を向ける様子がカメラマンのカメラに納められた(偶然)のを指摘され、ジンによって殺された後は酒蔵で遺体を燃やされた。宮野志保の偽の亡骸と共に。それは博士の車へ避難する最中、風見刑事からそれまで耳に付けたイヤホンで報告された内容である。そう言った犯人同士が互いを邪魔者扱いしあった事件は前世の世界でもニュースにあったりしたが、当事者になって多角的に色々考えると本当に聞くに耐えない。倫理観と理性的な思いが鬩ぎ合う、後味の悪い結末だ。
まぁ最悪殺されかける哀ちゃんにとっては幼児化がバレず、それで可能性として弟も命拾いしたわけだけども、それはそれ、これはこれ。私は思わず苦虫を噛み潰した様な顔になり、ありのままの出来事を話した。すると最初は博士と二人で驚いていた新一がくしゃりと顔を怒りで歪め、「共犯者を殺してしまうとは、なんて物騒な奴らなんじゃ!」「くそっ、ますます野放しに出来ねぇ悪党だな……!!」と悪態を吐いたいた。そうして恨みがましく憤るあの子の目に煮え沸るのは、探偵以前に人としての正義感と、運命共同体と言える哀ちゃんを殺されかけた憤怒か。
けれど殺されかけた当人である哀ちゃんは寝転んだまま新一の横顔を見ては、その目を僅かに細めて無表情でじっと観察していて。そうしてすぐにふいっと視線を晒した彼女は、気怠げに片腕を額に乗せて新一の質問に今後の己の動向(そうするとは言ってない)を考えて口にする。
灰原「そう……そうね……私がこの街に潜んでると知られた以上、もう貴方達の側にはいられない……。安心して、例の薬のデータは貴方達に渡すし、明日にでも出て行ってあげるから……」
博士「おいおい、無理じゃよそんな体じゃ!」
