(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第37章 漆黒の葬列 後編
例え新一の側に居続けるのが公安と私達で話し合った契約で、作戦には同意を得るものだとしても、その勇気と精神力に感謝と敬意があると同時に様々な心労をかける良心の呵責もあるわけで。彼女は新一に根っからの犯罪者と口にされても、仕方なくて払拭しようと根付いた恐怖心と戦い、悩んで迷った末の大きな大きな決断なのだ。
椎奈「ところで被害者のあの人、不祥事で騒ぎになってる人でしょう?民間人どころか仕事仲間の大勢に嫌われてたり、恨まれてる可能性も考えられるけど、組織の犯行と断言できる根拠はあったの?」
コナン「いいや……取り敢えず、犯行に使われた証拠っぽいのは見つけた。犯人を突き止めた時に組織の奴か分かると思って……」
椎奈「だけど無関係な別人の犯行だってありえるし、知らぬ間に実行日を変更されてる可能性もないかしら?盗聴がバレたんでしょう?ましてや仮に組織の例の幹部が犯人だとしても、その人や組織の連中はわざわざ最後まで推理の披露に付き合った挙句、素直に白状するかしら……」
コナン「え?」
椎奈「まぁそんなのどんな事件、どんな犯人でもあり得るし、誰しも思い通りには行かないものよ。相手は全員がそうとは言えないけれど、平然と命を踏み躙れる凶悪犯達でしょう?」
コナン「……でも無視出来ないだろ?」
椎奈「それで感情的な発想で問題を多発させて、推理したら簡単に解決すると?例えどんなに強い人でも相手の強さや、状況次第で運悪く殺される……。100%無事でいれる保障は誰にもないの、現実を舐めちゃだめ」
コナン「う゛っ……」
本当は組織の仕業だけど、と現実的な懸念を考えながら冷淡な声音で静かに諭し、組織への嫌悪感やら図星を刺されて苦虫を噛み潰した様な顔で無言になった新一を助手席で振り返って見つめる私。流石にもう今回で思い知った筈だ、自分一人ではどうにもならない状態なのだと。
椎奈「……まぁアレコレ沢山言いたい事はあるけど、要は他にも安全で褒められる手段があったでしょって話!兎も角、博士の家に帰るまでは本格的な話は無しにしよう、私達の不安が大袈裟じゃないって納得したでしょ?」
コナン「……はい」
溜息混じりで終始刺々しい態度を取っている私に、額が冷や汗でびしょ濡れの新一は唇を歯噛みしめて悔しんでいた。