(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第33章 黒の組織から来た女2
そんな彼女は強盗事件で姉を殺害されて組織に反抗し、自殺で薬を飲んだら幼児化しまって施設を逃げ出し、博士と俺の家族に匿ってもらってる間に彼女が関わった研究施設は薬のデータごと崩壊。つまり今の彼女はもう組織にとって、抹殺対象の裏切り者というわけだ。幼児化がバレたら俺自身も危ないうえに、シェリーも明美さんと同じく組織に、ジン達によって必ず殺されてしまうだろう……。
事情を聞いて混乱しつつも落ち着いて考えることが出来た俺は、なるほどたしかに、と博士と両親の判断や思いを理解した。要するに四人は組織に命を狙われている彼女を匿い、例の薬に詳しい科学者なので解毒薬を作って貰おうと考えているのだ。それが何より俺自身が元の姿に戻る為であり、シェリーの命を守ったうえで組織の犯罪の重要な証拠を貰う為でもある。
けれど冷静な探偵としての理性と価値観に反して、あの恐ろしい薬を飲まされた時の苦痛が、そのせいで死にかけた恐怖と怒りが、極悪人とは程遠そうな彼女に対して複雑な思いを募らせる。被害者としての葛藤だった。俺は思ってるがままに答えるしかない、全部が本当の気持ちだから。
新一「……オメーと明美さんの境遇は分かった、薬の開発に少なくともオメーの悪意が無かったことも。ここに居候する事も人を見る目が確かな家族がオメーを信じて、博士が良いなら俺に反論はねぇよ。追い出して見殺しにするわけにもいかねぇし、一緒にいた方がよさそうだ」
灰原「!!」
新一「……だけどオメーが自分で言っていたように、どんな事情があっても犯罪に加担したのは事実だ。犯罪に悪用したのが彼奴らなのは分かったけど、それでも俺はまだオメーを心の底から許せねぇ……」
灰原「……ええ、分かってる。あなたのそれは当然の気持ちだもの、奴らへの恐怖は消えないけれど覚悟は出来てる……。私は解毒薬を作って飲んだら必ず罪を償うわ、あなたとあなたの家族と博士にその約束を誓います」
きちんと俺を見据えてそう言った彼女に改めて思う、確かに彼女は明美さんにそっくりだったんだなぁと。そして今度こそ明美さんの妹を守りたい、記憶の中のもう亡き彼女に俺もそう誓った。
この日から俺には、小さな相棒という協力者が出来たんだ。
新一side AND───────