(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第28章 満を辞して、毛利家へ
───新一side
有希子「あぁ新ちゃん!無事でよかった!阿笠さんもごめんなさい!!」
男達に毒薬を飲まされ、目が覚めると幼児化しちまったその翌日。昨夜は自分の油断と死にかけた事実に気が動転し、姉や博士に怒鳴って挙句大泣きしては大変困らせてしまった。二人は俺が杜撰で危険な事を言うから咎めただけで、迂闊な行動を正論で阻止してくれた。俺はきちんと自分が心配されて、大事にされてる事も感じていた筈だ。いかに自分が高校生で一人前の探偵になった気でいて、何でも出来る大人なのだと慢心していたのか分かった。いざこうやって突然の窮地に陥り、改めて実感するなんて……
今も姉の機転で帰国した両親が使うホテルに博士とやってきて、ドアを閉ざした途端に母に力いっぱい抱きしめられていて。肩には母が流した涙が染み込み、博士に対する感謝と俺の無事に安心している言葉ばかりを口にした
「こんなに小さくなって……」、ごめん、「体は苦しい?痛くない?体調の変化は?」、大丈夫だよ。そうやって矢継ぎ早に質問されては、泣きじゃくってる母さんの背中を撫でて静かな声音で答えながら宥めていく。姉さんが論破してくれて良かった、博士が発明化でいてくれて良かった。きっとそうでなければ、自分は感情のままに動いて死んだに違いない。絶望感に呑まれる一方だっただろう
そしていつもは天真爛漫な母さんが傷心でいるのも落ち着いた頃、肝心な親父と姉さんが別行動で動いているのを知った。俺がこの先無事に隠れて生きていく為、必要な物事を全て用意してくれているのだそうだ。逆に母さんは新一の失踪を完全ではないにしろ、匂わせるため奔走してくれて。そんな親父と姉さんがホテルに戻ってきたのは夕方で、親父の方は取り乱して泣かずともその表情が悲しげに歪んで体も震えている
新一「親父……姉さん……」
有希子「お帰りなさい……無事に帰ってくれて良かった」
優作「ああ、ただいま帰ったよ有希子……」
椎奈「ただいま母さん、新一と博士も無事に来れたのね。何とか潜伏出来る準備が出来たわ、あとは生活場所の確保だけよ……」
有希子「そう……」
疲れと不安が滲み出ている姉さんと親父、二人を落ち込んだ笑みで労った母さんはその報告に頷いた。重要なこれからの生活場所、それをこれから話し合うなら思い浮かぶのは唯一あの場所だった
