第26章 小さくなった名探偵

いつもと変わらない穏やかな目覚めと、カーテンを漏れ出る朝日の光。少しだけ気だるい体を起こしてベッドを降り、着替えてキッチンに向かうとコーヒーや朝食を手早く用意する


そしてリビングでテレビを見ながら一口、また一口と食事やニュースの内容を一緒に呑んでいく。やれ強盗や殺人事件、傷害、ハイジャック……その他色んな犯罪達がここ、米花町を主にして他県で起こっているのを見聞きする。これでも大分減った方だから、本当に恐ろしい街だよ


そんな中でもとある資産家の洋館で起こった事件があり、足の負傷を偽ったそこの主人が事件を起こして捕まったのだと報道された。これは前世でサラッと最初のシーンで、工藤新一が解決させる筈だった事件だ。しかし報道よればそういった話はない、その現実にホッと安堵した直後である




《……続いてのニュースです。巷で有名な高校生探偵・工藤新一くんが、またもや神奈川県の事件を解決しました！！》


椎奈「ゴフッ……はあ？！」




思わず飲んでいたコーヒーを吹き出し、咳き込みながらも声が大きくなるほど驚いた。だってあの子が解決するだろう事件は警察が解き、その日は蘭ちゃんの都大会を応援する。そう思っていたのに何だこれ、結局変わっていないじゃないか……否、こうなる事は予想していたけども……


しかも内容は殺人事件、得意げに推理を披露する様子が映像で流れ逃走しようとした犯人をサッカーボールで倒している。どうやら一部が修正されて、活躍そのものは消え去らなかったようだ。因みに最後は、ドヤ顔のあの子が「工藤新一にご依頼を！」と宣伝して映像が終わった。後は新一の活躍ぶりを楽しげに語って事件の報道は終了し、芸能人の最新ニュースが流れ出す


トップの話題は先日あった、私が主演の映画の公開記念の記者会見。盛大な祝宴の映像と、キャスターさんの映画の詳細や会見の様子を語った言葉が流された




《今年で漸く二十歳になったSHINAさん。姉弟揃って素晴らしい活躍ですね！》


《そうですね〜。最近はコメディ系のドラマで男を魅了する超絶美女や、おバカで可愛く癖が強い女の子を演じ、圧倒的なボケキャラが似合う女優として定着しつつありますし……》


《それに彼女は毎年マカデミー賞の女優賞を受賞、去年は無事に５周年を迎えて一層の期待が集まってます。他にも共演者として……》