第16章 未来の探偵と警察【原作３年前】

蘭「逮捕の、技術……」


小五郎「おうさ。逮捕術の真髄は己も勿論、相手をも無傷で制圧する事だ。急所への攻撃や意識を無くすのようなダメージは負わさねぇ。苦痛や反抗心は無用な逆恨みの元になりかねねぇからな。被疑者や現行犯を逮捕・拘束する為、手早く安全する実行できる技術がそれだ。普通の格闘技じゃねぇから、一般人はまず知らねぇよ」


椎奈「そういう事！だから蘭ちゃん、今後は絶対に軽率な行動を控えるんだよ？状況と相手の容体次第じゃ過剰防衛になってしまう、蘭ちゃんは誰かを傷つけて平気でいれる子じゃないでしょ？それに自分に起こった不幸が家族や園子ちゃん、私と新一を深く傷つけるって理解してほしいな？蘭ちゃんも新一もまだ子供だよ、無茶を避けて大人と警察に頼るのは悪い事じゃないわ」


蘭「お父さん、椎奈お姉ちゃん……色々心配させてしまってごめんなさい！今日から事件は警察に頼って極力安全に過ごす！」




私と小五郎さんが言葉を尽くして説得すると漸く無茶や誤解を自覚したのか、素直に反省してくれる蘭ちゃんは健気で優しい子だ。前世は勘違いで暴走しちゃう原作話があったけど、それも今回叱った事で無くなってほしい……。事件に自ら巻き込まれたり、犯人を撃退しようと仕掛ける行為も収まってくれだろう。それに園子ちゃんも正論を告げてみれば、無闇に空手を促す「やっちゃえ」も言わない筈だ……血の気が多い性格じゃないしね？


だけど原作時空になったら、きっとしょっちゅう巻き込まれまくると思うけど………ああ、未来の蘭ちゃん達と少年探偵団を思うと憂鬱だなぁ……










因みにその後、家で新一を説教してみたけれど意味はなく、鬱陶しがられてしまった。別の日には電話がかかって「新一が事件に首を突っ込んじゃって、萩原刑事に避難するよう言われたんだけどどうしよう？」って言われた時は頭を抱えたよね……。返事はもちろん「大人の指示に従って」と返しておいた、事件で嫌な思いはしてほしくないしね……



そうやって色々気遣っていたら、数ヶ月後に自分がストレス性の病気になるだなんて、この時の私も家族も知る由もない。そして１１月６日はなぜか都内の廃ビルで原因不明のガス漏れ事故が発生。被害者は幸いいなかったらしい。そこは騒ぎになって立ち入り禁止になったが、一体何があったんだろう？