第11章 僕の誕生日(20歳)①*
side.名前
もうすぐ12月7日。
悟さんのお誕生日がすぐそこまで迫ってきている。
お誕生日プレゼント。
どうしよう…
うんうん悩んでいると、悟さんが帰ってきた。
「ただいまー」
「悟さん。おかえりなさい」
「名前ー。僕また出張になっちゃったよ」
「えっ?いつ?」
「よりにもよって12月7日」
「そうなんだ…」
最近の悟さんは出張任務が多い。
「反応薄くない?地味にショックなんだけど」
「えっ?」
お仕事なら仕方がないし。
「名前の口から寂しい!とか。電話してね!とか。言って欲しいの!」
そういう事は思っていても、口にしたらいけないと思ってた。
「寂しい時に声は聞きたいけど。私、まだ携帯持ってなくて」
「あっ!確かに!今から買いに行く?」
「ありがとう。でもなくても困らないよ?」
この数ヶ月。
必要に感じたことがない。
「僕が困るんだよ。声を聞きたい時に、電話がないと不便でしょ?」
「そっか…でも今日じゃなくていい」
また出かけちゃうのは嫌。
「じゃあ明日買ってくるね」
「うん」
服の袖をキュッと掴むと、私の心を察してくれたようで。
ギュッと抱きしめてくれる。
一緒にいれる時間を大切にしたいの。