第2章 お見合い
side.五条悟
月日が流れるのは早いもので、
天内の出来事から3年が経った。
世間の女子高生が
「夏休みー!」と浮かれる最中、
母に帰省するよう言われる。
何でも、訳あり少女を引き取ることになったんだと。
僕は五条家の当主だから、
こういう席には
参加しなければならない。
今年20歲を迎える僕は
縁談の話が多くなった。
もしかしたら今回も母に騙されているのかもしれない。
実家の玄関を潜ると、
小さなローファーが並んでいた。
誰のだろ?
ちっちゃー。
疑問に思っていると、
家の使用人が顔を出す。
「悟様、お帰りなさいませ」
「うん。ただいま」
「奥様とお嬢様は応接間にいらっしゃいます」
お嬢様?
ああ。
例の子ね。
「ありがとう」
長い廊下を進み、客間を覗いてみる。
すると母と楽しそうに会話をする少女がいた。
「ただいま」
「あら。悟さん、お帰りなさい」
「あ…えっと…お邪魔しております」
浮かれている母を見て
溜息が零れた。
やっぱりお見合いか…
今回も難癖つけて断ろ。
品定めの視線を少女に向ける。
その瞬間、
僕は息を飲んだ。
何で…
君がここにいるの?