第9章 仕組まれた飴と鞭*
side.名前
ある日、私は夜蛾学長に呼び出され。
任務を言い渡される。
「いいか?名前は悟の膝に座っているだけでいい。絶対に動くな。そして何としてでも悟に仕事をさせろ」
「えっと…分かりました」
何なんだろう?
私は悟さんのデスクに座って、悟さんの帰りを待つ。
執務室で読書をしていると、悟さんが帰ってきた。
「おかえりなさい」
「あれ?何で名前がいるの?」
「人質よ」
「はっ?人質?」
私の代わりに歌姫先生が答える。
私と悟さんは2人で顔を見合わせた。
「あんたがしっかり報告書書かないから。名前が人質になってるのよ」
「ええっ!?僕の妻をどうする気!?」
「あんたが今日もやらないなら。名前は暫く私が預かる手筈になってるのよ」
「そんなぁ…名前ー」
そんな今生の別れじゃないんだから。
きちんとお仕事すればいい話なんじゃ…
「悟さん。お仕事しよう?私、学長にお仕事終わるまで悟さんの膝に座ってるように言われちゃったの」
「はぁっ…分かったよ」
悟さんは観念したように私を抱えてデスクに腰掛けた。