第8章 妻の隠し事*
side.名前
午前の授業が終わって、硝子さんの元へ行く。
「こんにちは」
「おっ。名前。今日も手伝いありがとう」
「いえ。それより…あの…硝子さん…例の物は…?」
「あー。うん。あるよ」
「ありがとうございます」
私は悟さんに内緒で、こっそりと硝子さんにピルを貰っている。
「五条は避妊してくれないの?」
「…えっと…はい…」
ボッと顔が赤くなってしまう。
「最低のクズ野郎だな」
「でも私は養って貰っている身なので…」
「まあ、名前がそれを服用すれば済む話だし。悩んでた月経不順やPMSも治るし」
「本当に助かります!」
私は月経不順があったり、PMSが重かったりするから授業を休む事があった。
だから硝子さんには感謝してもしきれない。
それくらい助かる。
「硝子さん。この事は悟さんには内密に」
「いいよ。その代わり今度アイツが出張の時。飲みに付き合え」
えっ?でも…
「私、未成年ですよ?」
「女子会だよ。女子会」
「歌姫先生も?」
「うん」
「じゃあ、おつまみ係に徹します」
悟さん、もう少し大人になるまで待っててね。
こうして私は初めて悟さんに隠し事をすることになった。