第23章 僕の過去
side.名前
「えーっとね…彼女がいた事はないんだけど…エッチは…若い頃に少ししたかな?」
悟さんは言葉を濁しながら。
よく分からない事を伝えてくる。
「…彼女じゃない人と…エッチするものなの?」
「あー…まあ…若気の至り?」
若気の至り?
何それ?
へらりと笑う悟さんに、少し嫌悪感を抱く。
「…じゃあ…悟さんは、好きじゃない人とエッチしてたんだね…」
「そういうことに…なっちゃうかな?」
「…そっか…」
エッチの時に私を好きだと言うのも。
嘘のように思えてきた。
「やっぱり引いた?」
「…悟さんモテるもんね…」
「でもね!僕の初恋は名前だよ!それだけは信じてね?」
うん。
それは聞いた事あるよ。
でも悟さんは好きでもない人と。
キスしたり、エッチしてたんでしょ?
そんなの考えたくもないし。
想像もしたくない。
なのに…
どうしても考えてしまう。
私を撫でる大好きなその手が。
他の女の人を触ってたなんて…
「名前。もしかして怒ってる?」
「嫌っ!」
私に触れようとする悟さんの手を。
思わず払い除ける。
「…あっ…」
「名前?」
私の身体はガタガタと震えだして。
気づけば涙が流れていた。