第19章 僕らの結婚記念日*
side.五条悟
翌日。
僕と名前は近くの海水浴場で遊ぶ。
本当は君の水着姿を人前に晒すなんて。
すごく嫌なんだけどね。
名前を横抱きにして、浮き輪に入れた。
そして浮き輪をビート板代わりにして、バタ足で沖へ進む。
「うわっ!凄いっ!早いっ!」
笑う名前を見て、僕まで楽しくなる。
「ねえ?名前?」
「うん?」
「海、楽しい?」
「うんっ!凄く楽しいっ!」
これから僕らは大人になって。
こういう遊びをしなくなるかもしれない。
あと何回こんな夏を過ごせるんだろう?
海水浴、スイカ割り、花火。
君と過ごす夏は楽しくて、あっという間に過ぎ去ってしまうんだ。
夜。
火花を散らす君を見て、寂しい気持ちになる。
「あーあ。終わっちゃった」
「そうだね」
全ての花火を使い切った君は、残念そうな顔をした。
「悟さん。また来年もここに来たいね」
「そんなに楽しかった?」
「凄く楽しかった。最高の結婚記念日だった」
少し切なく笑う君をギュッと抱きしめた。
「じゃあ来年も再来年も一緒に来よう」
僕らは頭の奥が痺れるようなキスを繰り返して。
記念日を終えた。
きちんと来年も再来年も、ずっと一緒にいようね。