第3章 新生活
side.名前
お見合いから1ヶ月。
トントン拍子に物事が運び、私は五条名前となった。
高専への入学も決まり。
私は悟さんと宿舎で過ごしてる。
「名前♥名前ー♥」
「…んんっ………もう…ちょっと…」
寝不足だった分を取り返すように、私は良く眠るようになった。
「名前ー♥起きないとチュウしちゃうぞー♥」
“ちゅうッ♡”
「…んんっ…ふにゃっ!」
鼻をつままれ、目覚めのキスをされる。
息苦しさで目を覚ます。
「悟さん…」
「ふふっ。漸く起きたね。お寝坊さん♥」
「うん。おはよう」
「朝ご飯できるよ♥」
「ありがとう」
もう1ヶ月も寝食を共にしているのに、まだドキドキしちゃう。
悟さんは本当に出来る旦那さんだ。
優しいし。
私の身の回りのお世話をしてくれるし。
だからこそ申し訳なく感じる。
未だに身体も求められないし。
「…さ、悟さん…」
「うん?」
「…やっぱり…何でもない」
寝室を出ていこうとする悟さんを引き止めたけど。
夜の営みのことなど聞けるはずもなかった。