第16章 お花見交流会*
side.名前
私が高専に来て、初めての春。
桜が咲き誇る木々の下で、
毎年恒例というお花見交流会が始まった。
「では今年度も宜しく頼むぞっ!乾杯っ!」
「「乾杯ー!!」」
「「宜しくお願いします」」
新学期を迎えた私達は、紙コップを合わせる。
私は、悟さんと硝子さんの間にちまっと居座ってジュースを飲む。
「あら?名前は飲まないの?」
「らしいよ。つまんなーい」
「こらこら。歌姫。硝子。名前は未成年だよ」
「つまない男ね。ほら。こっち来て飲みなさいよ」
「えっ?ええっ?」
あれよあれよという間に、
私は硝子さんと歌姫先生の間に移動させられる。
そしてお酒を勧められてしまった。
「…えっと…じゃあ…ちょっとだけ…」
硝子さんにお酌されてしまい、断れなかった。
お神酒も頂いた事あるし、大丈夫だよね。
物の試しに、ちょっと飲んでみる。
「甘い。美味しい…」
「カクテルよ。ジュースみたいでしょ?」
「はい」
歌姫先生が選んでくれた初めてのお酒は、甘くて美味しかった。
「名前ー。あまり飲みすぎないでねー?」
「うん」
悟さんに注意されたけど、
思いのほか美味しくて、
気づけば丸々1缶を開けていた。