第14章 僕のウサギちゃん
side.名前
いつも通りに授業を受けて、
いつも通りに硝子さんのお手伝いをして、
宿舎に帰って悟さんを待つ。
夕飯の支度をしていると、
滅多に使わない携帯が鳴った。
着信画面には“五条悟”と記されている。
「もしもし。悟さん?」
『 あ。名前?うん。僕』
「どうしたの?」
悟さんからの電話なんて珍しい。
『ごめん。今日、帰れそうにないんだ』
「えっ?」
じゃあ今日は一人でお留守番?
『もしもし?名前?大丈夫?』
「…あ…うん。平気。大丈夫だよ」
お仕事なんだら仕方がない。
頭では理解しているけど、
どうしても寂しいと思ってしまう。
『なるべく早く帰るからね』
「うん。分かった。気をつけてね」
『ありがとう。名前。大好きだよ』
「私も大好き」
『じゃあ、またね』
「うん」
電話を切って、暫く呆然とする。
私、今までどうやって生きてきたんだろう?
悟さんがいない時間をどうやって過ごしていたのかな?
グルグルと考える。
そんな事を思い出せないくらい、
毎日が悟さんでいっぱいだったんだ。