第2章 お見合い
side.五条悟
「出来れば…さ、悟さんの…お、お嫁さんにして下さい」
渾身の一撃を食らった気分だった。
何という破壊力。
相当、勇気を振り絞ったんだね。
拳を強く握りしめてるから、
爪がくい込んでるよ。
「うん。じゃあ、その方向で話を進めようか」
「はいっ!」
名前が良い返事をした瞬間、
襖の隙間から母が親指をグッと立てているのが見えた。
今回だけは母に感謝しないとね。
その後、渦中の名前を除いて、
トントン拍子で話が進んだ。
彼女には暫くここに滞在して貰い、
後日、高専に入学でき次第、
そっちに移り住む運びとなった。
「悟さん。ちょっといい?」
名前がお風呂に入っている間、
母さんに引きとめられる。
「何?」
「名前ちゃんの事だけど…。あの子ね。相当、苦労してるのよ。聞いた?」
「ううん」
僕は、話せるようになったらでいいと思ってる。
「お食事もあまり喉を通らないみたいでね…」
「そっか…それは心配だね」
「ええ」
それは切実に心配だけど。
母の事だ。
まだ続きがあるんでしょ?
「それで?僕にどうしろって言うの?」
「できるだけ名前ちゃんの側にいてあげて欲しいのよ」
「はぁっ…分かってるよ。大丈夫」
名前はきっと眠れてないんだろうね。
目の下の隈が酷かった。