第13章 僕の誕生日(20歳)③*
side.名前
翌日。
私達は朝食をすませると、任務に取りかかる。
悟さんは何故か私に着付けをさせて。
女将さんと一緒に宿泊客のお見送りをするように命じた。
「名前。これは火打石。呪霊の影響を受けてそうな人を見つけたら、これで祓っておいて」
「えっ?私が祓うの?」
「うん。僕はその間に呪霊の発生源を見つけて、片づけてくるから」
「うん…でも…」
祓うなんて、出来るのかな?
「大丈夫。君には僕の呪力が流れているから」
「ん?それってどういう事?」
「じゃあ。頼んだよ♥」
悟さんは私にチュッとキスをすると、シュッと何処かへ行ってしまった。
悟さんの呪力が流れているってどういう事なんだろう?
よく分からないけど、悟さんの強さが流れているなら祓えるかも。
私は女将さんの後ろにくっついて、お客様のお見送りに徹する。
「行ってらっしゃいませ」
呪霊がついていても、いなくても。
お客様の背後から“カンッカンッ”と火打石を鳴らす。
「可愛らしい若女将ね。また来ますね」
「ふふっ。家の看板娘でございます。行ってらっしゃいませ」
若女将と勘違いされてるけど、女将さんも合わせてくれてるし。
いいのかな?