第4章 看板娘の告白
「ただいま戻りました。」
安はお店の暖簾をくぐった。客はおらず、女将と旦那が待っていた。
「言いたいことは言えたのか?」
「、、、はい、言えました。わがままを聞いてくださってありがとうございます。」
女将も旦那も安のことはもちろん可愛い。だからこそ、いいところにお嫁に行って、何不自由なく暮らして欲しかった。
「彼のことは残念だが、相手はいくらでもいる。何人か会ってみてあんこの気に入った者にすればいい。」
安は頷くしか出来ない。女将と旦那の気持ちがわかるからだ。
「今日はもう休みなさい。早速明日から見合いを始めよう。」
わかりました、と安が奥へと下がろうとした時、店の中なのに強い風が吹いた。
三人とも目を閉じる。安は肩に優しい手が置かれ、驚いて目を開けた。そこには予想通りに彼がいた。