第3章 看板娘の恋
「あんこちゃんは最近、また綺麗になったんじゃないか?」
風月庵の常連のおじさんにそう言われ、安は可愛く笑った。
「またまた〜。あんこはいつも綺麗ですよ。」
「いや、もちろん前から綺麗だけどね。こう、最近はちょっと違うよね。」
「あんこちゃん、好きな人でも出来たんじゃないの?」
別の客にそう言われ、安の頭の中には目つきの鋭い、でもおはぎの好きな彼の顔が浮かぶ。みるみる安の頭が赤くなった。
「ほら、やっぱりそうなんだろ。」
「いや、彼はそんなんじゃ、、、」
「ほらもう、彼、って言っちゃってるじゃないか。」
店内の客は和やかに笑っている。看板娘のあんこちゃんは、みんなの娘のような存在でもあった。
「あんこちゃんのような美人に想われて、お相手が羨ましいなぁ。」