第5章 燃ゆる想ひを※
「それに俺も流石に疲れてるしな。最後は本当に危なかった。お前が可愛すぎるから、興奮して先に出ちまいそうになった。頑張ったな、俺。」
「ふふ、何よそれ。」
自画自賛する錆兎に、音羽はクスッと笑う。
そう言えば、どんな時でもいつも音羽が達するまで、絶対に錆兎は終わらせない。
最初の頃は、暴発することもあったが…。
「…そう言えばいつも、私が先に…終わるまで、頑張ってくれる…よね。」
「だって、俺だけ満足しても、意味がないだろ?」
「ん?」
「俺だけが満足したら、俺がお前を性処理の道具として、利用してるみたいになるだろ?そんなの、嫌なんだよ。二人して満足しないと、意味がないだろ。ていうか、俺たちの関係はそれが前提だったし。」
そんなに真面目に、考えてくれていたことに驚いた。確かに、今までも音羽の嫌がることはしなかったし、体調が悪い時や、あの日も、危険な日も気を使ってくれていた。いつも触れてくれる指先だけで、優しさが伝わってきた。
錆兎の優しさは知っていたけど、自分をそんなに大切に扱ってくれていたことを改めて感じ、音羽の胸が暖かくなる。
音羽は、錆兎の胸に顔を埋めると小さく呟いた。
「……………好き。」
「ん?……お前、今なんて言った?」
「聞こえなかったなら、もう言わない。」
「なんでだよ、今絶対に好きだって言っただろ?」
「…限界だから、もう寝るね。おやすみなさい。」
「おい、寝るなっ!」
錆兎の言葉に小さく笑うと、音羽は錆兎に胸に顔を埋めた。暫くすると、本当に疲れてたらしく、すぐに規則正しい寝息を立て始めた音羽に錆兎は苦笑いした。
しかし、音羽の暖かな体温を感じてか、錆兎も段々と心地のいい眠りの中に、落ちていった。