第5章 燃ゆる想ひを※
これじゃ、俺が無理矢理、犯してるみたいじゃないか。…音羽…頼む。この行為の時だけでいい。俺を受け入れてくれ。
錆兎の苛立ちが、乱暴に音羽の中をかき乱していく。抵抗しても無駄だと悟り、次第に音羽の身体は、錆兎の行為を受け入れ始めた。
「やぁっ…、ん…もう…、ほんとに…そんな強く…擦っちゃ、……あっ、…んぁあっ!!」
一際甲高い声を上げて、音羽が啼いた。その声に、錆兎の動きが止まる。
「今…お前、…可愛い声、出してたぞ?」
「だ、出してないわよっ!」
思わず音羽が口元を抑えた。その行動に、錆兎の苛立ちがまた募る。
「なんだよっ。そんな声が出せるなら、出せよっ!なんでいつも、堪えてんだ!」
「…………」
音羽が顔を反らし、黙り込む。
「なんで、黙ってるんだ!…おい、こっちみろよっ!」
嫌がる音羽の腕を掴み、無理矢理自分の方に向ける。
「い、いやっ!」
そう小さく声を上げ、振り返った音羽の顔を見て、錆兎は思わず息を呑んだ。
「…音羽…お前、…今まで、そんな顔で俺に抱かれてたのか?」
汗ばんだ頬、赤く上気した顔、蕩けきって潤んだ瞳が恥ずかしそうに錆兎を見詰めていた。
(……可愛い。)
「み、見ないでっ!」
音羽が、錆兎に見せるのを拒否するように顔を背けた。
「……なんだよ、そんなに俺に見せるのが……嫌なのか?」
音羽の態度が、また錆兎の心に暗い影を落とし、錆兎は感情を抑えられなくなっていた。言ってはいけない、わかってたけど、止まらない。
錆兎は音羽の手を乱暴に掴むと、自分の方に引き寄せた。
「…どうせ、他の男には…見せるんだろ?」
「…なんのこと?」
「だからっ!他の男には、抱き合ってして、善がって、そんな目をして、見つめるのか?って、言ってるんだよっ!」
「他の男って、誰よ!」
「顔も合わせたくない、大嫌いな俺とだって、やれるんだ。…熱を冷ましてくれる適当な奴がいれば、誰とだってするんだろ!!」
「っ!」
パァン!!
思いっきり頬を打たれ、錆兎が頬を抑えながら音羽を見た。
音羽は目を潤ませて、今にも泣き出しそうに唇を震わせていた。