• テキストサイズ

【鬼滅の刃】水鏡之人【錆兎】

第8章 音柱の任務と蝶屋敷の女主人





「まぁ、素敵っ!…私も昔、亡くなった主人から、何度も手紙を頂きました。殿方から頂く手紙は、嬉しいものですよ?」

そう言って妙は、懐かしいような寂しいような顔を浮かばせた。

妙も十数年前に鬼によって、ご主人と幼い息子を失っている。きっと、その姿を思い浮かべたのだろう。

「嬉しいもの…ですか?……でも、何を書いたらいいのか、わからなくなってしまったんです。」

錆兎が苦笑いを浮かべると、妙は優しげに微笑んだ。

「錆兎さん、内容じゃありませんよ。恋文は気持ちが大事なんです。錆兎さんの本当の気持ちを、素直にお伝えすれば、相手にはきっと届きます。」

「俺の本当の…、」

そう言われて、錆兎は憑物が落ちた気分だった。

「妙さんっ!!あの…、すぐ終わるんで、夕食は少しの間、待っててもらっていいですか?」

「はい、かしこまりました。」

そう言って妙が去ると、錆兎は机に向き、筆を執った。そのまま、さっと手紙を書いて、細く折り畳むと、窓の縁にいた鎹鴉の誉(ほまれ)の脚に、手紙を括り付ける。

「誉、音羽に届けてくれ。頼むぞ?」

誉は返事の代わりに一声鳴くと、夜の暗い空へと向かって飛び立った。錆兎はそれを確認すると、満足したように頷いてから、居間へと向かった。







ー 音柱の任務と蝶屋敷の女主人 完
/ 202ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp