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【原作沿い夢小説】オタク+オタク=?【HQ/影山飛雄】

第10章 8ページ目 心がモヤモヤする時は


 通話が切れた画面を見つめてから、影山は外へ出ていった。


オタク+オタク=?
8ページ目 心がモヤモヤする時は


 まだ四月の夜は肌寒く、風が吹けば冷たく冷える。
 ボーッと歩きながら、影山は気が付くと指定された公園に来てしまっていた。
 会って何を話すと言うのだろうか。触れたくない過去の事を、好き好んで話す訳が無いのに。
 暫く誰もいないブランコを眺めていた所、背後から声が聞こえてきた。

「走れ走れー!ギャース!何で走ると私を噛み付くんよ !! 飼い主!飼い主だから!」

 声の主は朔夜であり、足元にいる犬に飛びつかれながら叫んでいた。散歩とは犬の散歩の事だったのか、と影山は黙って見つめていた。
 犬を飼っている事すら知らなかったし、それ以外も何も分からない事を思い出した。

「おまたーせ!」

 影山と目が合うと、朔夜はへにゃへにゃと笑いながらに近寄ってきた。その足元にいる犬は影山に興味津々なのか、足元の匂いを必死に嗅いでいた。

「てまこー。匂いを嗅ぐ前に挨拶が先じゃろー?」

 朔夜の言葉に対してチラッと視線を送ったが、てまりはすぐに影山の匂いをまた嗅ぎ始めていた。そんなに嗅ぐなんて臭いのか?と気になってくると、朔夜はてまりを抱き上げながら言う。

「初めましてこんばんは〜!海野てまりですぅ〜。フレブルとボストンのハーフのおにゃにゃのこなんですぅ〜」
「…………」
「犬は嫌いだけど、人間は大好きな奴なんだぁ〜」

 よいしょ、とてまりを地面に下ろすと、朔夜は笑顔で言った。

「お散歩しよか〜」





 何も口を開かず、ただただ無言で影山は歩いている。
 隣にいる朔夜は相変わらず色々と話をしているが、影山の耳には全く入ってきていなかった。
 夜道を二人と一匹で歩くだけ。
 電話を突然された理由も、何時も以上に無口でいるにも関わらず、朔夜は一切追求をしてくる様子が無かった。
 本当に好きな事を好きなだけ勝手に喋っている、と言った所だった。

「…………」

 影山は朔夜に何を求めて呼び出す様な事をしてしまったのか、分からずにいた。気が楽になる訳でも無い。
 気分の悪さは今だ健在であり、口を開いたら日向に対して怒鳴りつける様な口調を朔夜にもしてしまう気がしていた。
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