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【原作沿い夢小説】オタク+オタク=?【HQ/影山飛雄】

第10章 8ページ目 心がモヤモヤする時は


 金曜日夜。放課後の練習途中に妨害を受けた。
 中学時代の影山の事を、『あの日』の試合の事を知っている奴に会ってしまった。


コート上の王様。


 影山に付けられた異名。自分の行動全てを表した言葉。それは呪いの様に身体にまとわり付き、真綿で首を絞めてくるかの様に弱く、確実に絞まる。

「…………」

 パカ、と携帯を開き連絡先一覧を見るとそこには海野朔夜、の文字がある。


『連絡先交換しよー !! 』


 有無言わずに勝手に交換した連絡先。向こうからよく分からない写メが何度も送られてきている。風景やら、動物やら。
 でもそれに対して一度も返信をしていない。見て終わり、にしていたのだ。
 そんな自分勝手な事をしてきた奴が、自分のメンタルが乱れたから、と連絡を取っていいのだろうか。
 それは余りにも自己中心的ではないのだろうか。
 水曜日以降は早朝練に顔を出す事も無かったし、放課後も大人しく帰っていた。
 相手にしなかった事で付き纏ってくる回数が減った気がする。早くも飽きてきたのだと思い、このまま上手くいけば彼氏彼女の関係も解消される筈。
 解放されてスッキリする……のに、気分が良くない。

「……」

 ボーッとどれ位の間携帯を見つめていたのだろうか。さっさと寝てしまおう、と携帯を投げようとしてうっかり通話ボタンを押してしまった。

「げっ !! 」

 着信履歴が残る前に、と不可能な事を考えている間に画面は通話中へと切り替わる。携帯の向こう側からは、いつも通りの気の抜けた声が聞こえてきた。

『はいはいー!こちらモスバーガー !! 』
「…………」

 電話口でも訳の分からい事を言うのかと呆れるのと同時に、詮索をしてこないこの声を聞いていて安心している自分が居る事に、影山は気が付いた。

『初お電話だねー!どしたのー?』
「…………」

 どうした、と尋ねられたけれど、言葉が出てこなかった。
 数分の無言の後、電話口の向こうの朔夜から言ってきたのだった。

『あのねー、私今からお散歩の時間なんだー』
「…………」
『三角公園、って知ってるー?滑り台が三角の形の!』
「…………」
『おっけー!じゃあそこで待ち合わせだ!』

 一言も言葉を発する事が無かったのだが、それでも良かったのかこちらの言いたい事を分かってくれたのか、一方的に約束を取り決められた。
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