【原作沿い夢小説】オタク+オタク=?【HQ/影山飛雄】
第9章 7ページ目 秘密の特訓は男のロマンである
影山に気を遣いながら言うと、影山は表情を変えずに言い切った。それはまるで自分に言い聞かせているかの様にも聞こえていた。
(これは一筋縄ではいかなそうだな……)
別の意味で、悩みが増えた、と菅原は思ってしまうのだった。
そんな菅原の心配を他所に、朔夜も日向達も楽しそうにしている。
「ほうほう。じゃあ中学の時の友達には翔ちゃん呼ばれていたと」
「まぁ、イズミンだけだけど」
「じゃあ私も翔ちゃん呼ぶー!イェーイ!」
ハイタッチをしている姿に、傍観を決め込んでいた筈の影山が動いた。無言で歩くと、朔夜の後ろから日向の事を睨み落としていた。
「ヒィッ !? 」
「ん?なになに?」
くるっと振り返ると影山がいるので、ムフフと朔夜は笑って言う。
「おやおやおや、混ざりたくなってきやしたかい?」
楽しそうにしている朔夜を見てから、ネットに視線を移して影山は冷たく言った。
「バレーが出来ないだろうが。邪魔するなら帰れよ。時間もねぇんだし」
それはいくら何でも彼女に対して言う言葉でない。ジーッと見てくる朔夜を見て、菅原は慌てて駆け寄りながら言う。
「影山!いくら何でもそんな言い方は……」
「らじゃ!」
しかし、朔夜はと言うとあっけらかんとした様子で答えていた。
「邪魔しない約束!でも混ぜて〜」
影山の言い方を一切気にしていない様子の朔夜の事を、菅原は驚いた様子で見た。
普通ならばあんな突き放す言い方をされたら傷付くモノだ。だけれど、朔夜は笑顔で大丈夫だと言っていた。
二人の間で取り決めた『邪魔しない約束』が関係しているのだろう。
だとしても影山の言い方は良くない。笑って許す朔夜への甘えであるだけである。
何度も同じ事を言われ続けたら、今は笑っているとはいえ不快感を感じる筈だ。
(まるで……嫌われたいみたいだな)
自分と真逆の様な朔夜の事を、影山は遠ざけたいのかもしれないと菅原は感じ取った。
あの性格に対応出来ずに断れずにいて、かと言って正直に無理だと言えずにいるのだろう、と。
「私でも出来る事って何?」
「ボール拾いとかだろうなぁ。ほら、アッチにボール何個かあるだろ?スパイク打った後のボールってあんな感じに転がるから、集めないとならないんだよ」