【原作沿い夢小説】オタク+オタク=?【HQ/影山飛雄】
第9章 7ページ目 秘密の特訓は男のロマンである
影山は見覚えのある声に、ギギギギギ、と首を動かす。
体育館の入口のドアに、見覚えのあるお団子頭がいた。
「わ〜〜」
キョロキョロと興味津々に体育館の中を見ているその姿に、全身の血の気が引いていく。
早朝練は時間が早いから、無理では無かったのだろうか。始まってから一時間以上経過はしているが、何故いるのか。
予測出来ない事態に思考回路がぐるぐるしていると、最初に口を開いたのは菅原だった。
「え……誰?」
オタク+オタク=?
7ページ目 秘密の特訓は男のロマンである
その声をきっかけに影山は素早い動きで動くと、朔夜の腕を掴んで外に出た。
少し離れた所に行くと、影山は口を開いた。
「何でいる !? 無理じゃなかったのか !? 」
「ん?無理って何が?」
首を傾げる朔夜に、影山はついつい声量が上がっていってしまう。焦りと混乱から、だ。
「五時は無理言ってただろ !! 」
「え?うん?だって今、六時だよ?」
朔夜の言葉に影山はピタッと止まった。確かに今は五時ではなく六時であるから。
「五時は無理だから、六時に見に来た!でもグダったから十分の遅刻〜」
てへぺろ、と言う朔夜に影山は全身の力が抜けていく。来ないモノだと勝手に決め付けていた結果がこれか、と。
「ね〜、朝練ってどんな事してるの〜?眠くないの〜?」
気になる気になる、と身体を揺らす朔夜だったが、体育館の入口からこちらを見ている三人に気が付いて止まった。
「影山、その女子は……なんだ?」
ミシ、と音が鳴りそうな程にドアを掴みながら尋ねてくる田中の声に、影山は大きな溜息が漏れる。
この状況で説明しない訳にはいかないが、同時に早朝練の原因を話さなければならなくて。
「初めましておはようございます〜。影山君の彼女してる海野朔夜です〜」
ぺこり、と挨拶をする朔夜に田中の声が裏返る。
「かかかか彼女ー !? 」
「へい」
こくり、と頷く朔夜に田中を見つつ、菅原も声を掛けてきた。驚きを隠せない表情で。
「影山……彼女居たのか…………意外と言うかなんと言うか……」
ジロジロと見てこられる視線に、朔夜は影山を見上げて尋ねた。
「え?話してないの?」
「…………話す訳ないだろ、んな事いちいち」
「えー !! 除け者はんたーい!」