【原作沿い夢小説】オタク+オタク=?【HQ/影山飛雄】
第8章 6ページ目 男だって迷う時は迷うし戸惑う
「また明日ね〜。あ、でもバレー部の話は聞きたいかも〜」
「……分かっ、た」
返事をすれば、朔夜は友人二人と教室を出ていった。
それを見てから、影山は自分の両頬を思いっきり叩いてから呟く。
「……忘れろ、全部忘れろ」
◆
部活に入部する前に問題を起こしてしまった。それを馬鹿正直に話せる気がしないのだ。
話した事により朔夜に……。
(……いやいやいや !! さっさと俺に飽きて欲しいんだから、昨日の事を)
ブンブンと首を横に振りながら、自分の考えかけていた事を否定する。
落胆されたくない等、思う訳ないのだ。
「あ、影山君だぁ」
後ろから声を掛けられ、影山はビクッと驚いた。登校時間なのだから、いておかしくないのだが、タイミングが良過ぎて心臓に悪い。
(コイツ俺に発信機でも仕込んでるのか……?)
動悸を抑えながら朔夜を見下ろしていると、小首を傾げられた。こう言う姿を見る限りも、朔夜はやっぱり普通の女子なんだな、と影山は思う。
口を開くと訳が分からないのだが。
「影山君はおっきいから、遠くからでもすぐ分かる〜」
顔にでも書いてあったのだろうか。考えている事を当てられて、ムムっとしていると朔夜は言う。
「教室まで一緒に行こ〜」
「……おう」
影山の返事を聞くと、朔夜は嬉しそうに隣に来て歩く。
それを見ていると、朔夜は徐ろにリュックサックをゴソゴソと漁り、ゲーム機を取り出して言う。
「ねー、3DS持ってる?」
「持ってねぇ」
深く考えずに、正直に言うと朔夜がこの世の終わりの様な表情で影山の事を見ていた。
衝撃を受けていると言うか、ショックを受けていると言うか。兎に角そんな顔だ。
「…………3DS持ってないの?……死ぬの?」
「死なねぇよ」
大袈裟に言われたが意味が分からないので答えると、朔夜は残念そうに言うのだ。
「やだー。六月にポケモン新作出るから一緒に遊びたかったのにぃー。私、3DS二つ持ってなーい」
唇を尖らせながらぶーぶー言う朔夜の言葉に、影山は思っていた。
六月、と言った。
(二ヶ月後……まだ付き合ってるつもりなのか……)
そんなに長くこの関係が続くとは、とてもでは無いが思えない。何もしない出来ない自分に呆れられるのだから。
「くぅ……発売前に対策練ってくる。あ、そうだった」