【原作沿い夢小説】オタク+オタク=?【HQ/影山飛雄】
第8章 6ページ目 男だって迷う時は迷うし戸惑う
「殿下温くなる前に飲んだら?折角買ってもらったんでしょ?」
「そーだけど、まだ飲まないっ!」
「お茶が可哀想だからさっさと飲め」
「鬼だ!」
「飲まない方が飲み物に取って鬼だろ」
「隊長の正論が心に突き刺さるぅ !! 」
飲み物一つでよくもまぁ楽しめるな、と遠くから眺める。あの輪に自分は入れないのだから。
見れば見る程朔夜は未知の存在で、理解に苦しむ相手だった。
何で喜び、何で怒り、何で悲しみ、何で怒るのだろうか。
何でバレー以外の事で、ここまで頭を悩まさなければならないのだろうか。
積極的に他人と関わる事をして来なかった代償が、今一気にのしかかって来ている様な気がしてならない。
付き合うのを了承しなければ、こんな思いをしなかったが後の祭り。どうする事も出来ない。
だから、一刻も早く朔夜に飽きてもらわなければならない。
一週間?一ヶ月?どれだけ待てばいいのか。
そんな事を考えていると、バチッと朔夜と目が合った。目が合うと朔夜はへにゃーと笑いながら手を振ってくるのだった。
「 !! 」
反射的に顔を思いっきり背けてしまった。何でそんな行動を取ってしまったのか、分からず仕舞いだが何だか恥ずかしい気がして逃げたくなった。
一度背けてしまうと戻しにくく、誤魔化す様に自分の机に戻ると、影山は眠くもないのに机に伏せって寝たフリをしてしまった。
すると、遠くから朔夜の声が聞こえた。
「フラれたぁ〜」
「殿下が執拗いからだろ」
「そーそー、ほっといてあげなよ」
「ぶぅ〜」
そんな雑談を聞きながら、切実に早く昼休み終わってしまえと影山は強く願っているのだった。
◆
放課後。やっと心待ちにした部活の時間が来る。
まだ正式入部は先だが、それでも体育館を使う事は可能だろう。
楽しみで疼いていると、ツンツンと背中を押し突かれた。自分にスキンシップを取ってくる奴は、今は一人しかいない。
影山がゆっくりと振り返ると、そこには笑顔の朔夜の姿がやっぱり在った。
「……バレー部行く」
ボソリと呟くと構わないらしく、朔夜は笑顔で答えてきた。
「私は帰るー」
「……うす」
これで朔夜から解放されるので、気が楽になるし何も考えなくて良くなる。バレーの事だけを考えられる。
何時もの自分に戻れるのだ。