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【原作沿い夢小説】オタク+オタク=?【HQ/影山飛雄】

第8章 6ページ目 男だって迷う時は迷うし戸惑う


 そんなに喉が乾いていたのか、と驚きながら百円玉を自販機に入れると、朔夜が選んだのは緑茶だった。
 取り出し口から紙パックを取り出すと、朔夜は嬉しそうに言うのだ。

「えへへー、初めてのプレゼントだ」

 その一言にちり、と胸が傷んだ。百円の自販機の紙パック飲料なんかをプレゼントと言うから。


(……もっと別のにすれば)


 そんな事を考えてしまった自分に、影山は混乱した。すぐに終わる筈の関係だ。気遣う理由が何処にあると言うのだろうか。

「大事にするー」

 ギュッと紙パックを握りしめてそんな事を言われ、何て返せば良いのか分からない。
 さっさとそんな物飲んで捨ててしまえばいいのに。なんの価値もないのだから。

(どう対応すれば良いのか分からねぇ……)

 放置していれば良いのか、相手にした方が良いのか。全く影山から話しかけられる事が無いのに、朔夜は本当にそれだけでいいのだろうか。
 一切嫌そうな顔をせず、にぱにぱへらへら笑っている。本心から楽しそうにしている様で。

「買ったから教室戻ろ〜」

 るんるん、と言う擬音がぴったりのスキップをしながら、朔夜は先を歩いている。
 そんな後ろ姿を見ながら、自分は飲んでいるのに朔夜は全く飲む様子がない、と影山は思っていた。

(本当は飲みたくなかったとか……?)

 いや、それにしては朔夜は物凄い喜びようだったから、飲みたくないとかは無い筈、だ。
 そうなると、先程言った『プレゼント』だからになるのだろうか。それが理由で飲まなくて大事に持っていると言うのならば……、心が変な感じになる。
 バレー以外の物を欲しいと思った事がない。必要ないと思っている程だ。
 他人にも何かをあげる、なんて事をしてこなかった。けれど……。


 目の前を進む相手にあげる物は、あれは違ったのではないのだろうか?


 無意識に手を伸ばしていたが、それよりも先に教室に到着してしまい、朔夜は教室の中へと入っていった。
 その後を追うように影山も入ると、朔夜は友人二人に向かって話し掛けていた。
 ずぃっと紙パックを突き出しながら。

「見て!影山君に買ってもらった」
「よし、じゃあ俺が一口で飲み干してやろう」
「隊長ドイヒー !! 駄目だから!」

 サッと慌てて紙パックを隠していると、その様子を眺めていたもう一人が口を開く。
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