【原作沿い夢小説】オタク+オタク=?【HQ/影山飛雄】
第8章 6ページ目 男だって迷う時は迷うし戸惑う
「…………」
気が重い、兎に角気が重い。それが今の影山の心情だった。
昨日から折角部活動が新入生勧誘も始まり、やっとバレーに打ち込めると思ったら、中学総合の時に当たった奴との再会。
売られた喧嘩を買ってしまった結果、教頭先生のカツラを飛ばしてしまい、キャプテンの怒りを買ってしまった。
その結果、部活参加禁止。そしてそれを解いてもらう為に土曜日に試合をする事となった。
日向翔陽。この原因を作った奴。
影山の認識はそうなっている。実際は日向も影山も同等の事をしていて、同じ穴の狢なのだが。
それでも影山は自分には非が無いと思っている。
何よりも、あんなにバレーが下手な奴と一緒のチームと考えるだけで、憂鬱でしかない。
そして、その憂鬱を上回る憂鬱がこのバレー部出禁事件を、朔夜に話せる気がしないのだった。
オタク+オタク=?
6ページ目 男だって迷う時は迷うし戸惑う
「今日から部活体験入部始まるねっ!影山君はバレー部?バレー部だろ!」
昼休み、自販機に買いに行こうとしたら、朔夜がちょろちょろ着いて来て話しかけられていた。
影山が話返してくれなくても良いのか、朔夜は楽しそうにあれやこれや言っている。一人で喋っていて楽しいのかと疑問になり、影山はやっと口を開いた。
「海野……さん、は?」
「私はバイトするから入らなーい!帰宅部ー!稼いで貢ぐどー !! 」
誰に貢ぐのかと聞きたかったが、言葉に出来なかったので聞きそびれてしまった。まぁ、どうせ短期間の関係なのだからいいか、と割り切る。
「帰宅部の奴は放課後は大人しく帰る!家でゲームする!」
ゲームを一つも持っていないので、そんなに面白いのかと思った。それにこの様子では朔夜がバレーボールに興味を持つ事はないのだろう、と。
が、予想外に朔夜は言ったのだ。
「でも暇だったらバレー部見に行くー!遊びにも行く!」
「……そうか」
「うん!」
にぱにぱと笑いながら言う姿に気を取られつつ、自販機に着いたのでいつものを買う。そして、少し考えてから言ってみた。
「なんか飲むか?買ってやる」
特に深く考えてはいなかった。どうせ百円だし、位の気持ちだった。だが、朔夜はぱぁっと目を輝かせながら、影山の事を見上げている。
そして答えた。
「いーの !? 」