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【原作沿い夢小説】オタク+オタク=?【HQ/影山飛雄】

第7章 5ページ目 彼氏と彼女でぷ!


 昼休み、各自自由に昼食を取りながらの休憩になるので影山はすぐに立ち上がって振り返った。
 が、目的の席は既に空席であり、朝と同じ方向に視線を移すととててっと早足て移動している姿を見付けた。

「飯ろー!」

 友人二人に向かって話し掛けている姿を見つつ、無言で近寄っていくと友人二人が影山の事に気が付いてくれた。
 全く後ろを振り返らない様子に、後ろ後ろと指を指されてやっと振り返ってくれた。
 朝ぶりに再び目が合った。そんな事を影山はぼんやりと考えつつ、口を開いた。

「ちょっと……」

 控えめな影山の声を聞き、友人達に自分?と指を指しているとしっかりと頷かれていた。そうか自分か、と思ったらしく笑顔で返事が返ってきた。

「何ー?」
「昨日の事で話したい」
「んー?」

 チラッとランチバッグを見て、真顔で返された。

「もしゃってからでもいい?」

 至極本人は真面目に言っているらしく、影山は次の言葉が出てこなかった。確かに食事前に声を掛けた自分が良くなかったのかもしれないが、昨日の今日で全くいつも通りだと余計に混乱してしまうのだ。
 そんな影山の心境を察してくれたのか、友人の一人がシッシッと手を振りながらに言ってきた。

「殿下さっさと行ってこい」
「えー」

 むぅ、と眉間に皺を寄せているが淡々とした口調で言われていた。

「昨日の事だろ。殿下が悪い」
「うん、説明不足の殿下が悪い」
「隊長も総帥もドイヒー」

 友人達の言葉に諦めたらしく、ランチバッグを手に取って影山は言われた。

「何処行くー?」





 校内の適当な場所へ移動をして、腰掛けた。手ぶらな影山に対して、向こうはがっりと弁当箱と水筒である。
 呼び出したのはいいが言葉が上手く出てこないでいると、お構い無しに昼食を始められてしまった。

「…………名前」

 何とか絞り出した言葉は朝と同じであり、もぐもぐと口を動かしながら、胸元から生徒手帳を渡された。
それを受け取った影山は生徒手帳を見る。
 写真は間違いなく本人であり、名前をゆっくりと見て頭の中で復唱する。

(海野……朔夜、ってこれ読むのか…………)

 朝、手に書かれた名前が平仮名だった理由はこの漢字が原因なのだと影山は思った。
 多分あの時に漢字で書かれていたら、影山には名前が読めなかったから。
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