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【原作沿い夢小説】オタク+オタク=?【HQ/影山飛雄】

第7章 5ページ目 彼氏と彼女でぷ!


 暫く掌を眺めていた影山だったが、少ししてから気が付いた様に、握られているペンを見て青筋を立てた。
 握られているペンにはハッキリとマッキー、と書かれていたのだから。

「……これ…………油性マジック!」

 慌てて擦ってみたがやはり油性マジック。全く消える様子が無く、周りに見付からない様にと強く握りこぶしをつくる。
 洗ったら消えるだろうか、と怒りながらも名前はうんのさくや、と言うのかと影山は考えてもいた。

 学校に到着してすぐに掌を擦る様に洗ったが、やはり油性マジックだ。多少薄くはなったのだが、文字は消えてくれない。

「…………うんの、さくや」

 うっすらと残る文字を口にしてみる。名前を見ても、言葉にしてみても全く分からなかった。
 そこまで、自分はクラスメイトの事を見ていなかったのか、と影山は思いながら教室に足を踏み入れた。

「………………」

 影山はすぐに自分の席には向かわずに、教室内を見渡した。そして、その姿を見付ける事が出来た。
 影山の席からかなり離れた窓側の後ろの席に、確かにいた。楽しそうに話し掛けている女子二人がいて、友達がいたのか、と思いながらその姿を黙って見ていた。


 本当にクラスメイトだったのか。


 苗字があ行であると言う事は、か行である影山とは席がどちらかと言うと近いのだろう。
 それでも今まで自分の視界にあのお団子頭は見えなかったので、影山の席よりも後ろ側なのだろう。
 チャイムが鳴り、各自自分の席へと戻っていく。それは例外無く、影山の斜め後方二席後の席に着席をしたのだった。

(やっぱり、後ろ側の席……)

 そんな事を思っていると、バチッと目が合った。
 あからさまに見過ぎていたと目を泳がせると、笑顔で手を振られ、影山は慌てて自分の席へと座ってしまった。
 挨拶してきたと言うのに、逃げてしまう様な行動を取って嫌がられなかったか気になったが、影山に振り向く勇気はなかった。
 そもそも自分は何でこんなにも振り回されているのだろう、と思い出して来たら頭が痛くなってきた。

(……さっさと確認取ろう…………このままじゃあバレーに打ち込めねぇ……)

 昼休みで良いから、ちゃんと確認を取ろう、と影山は心に近いながら、消えきっていない掌の文字を眉間に皺を寄せながらに眺めていた。




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